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 代表的なやきものの土とは?
 
 やきものに向く土は、形がつくりやすいこと、乾燥後も高温で焼いても形が崩れないこと、焼成後に白く仕上がることが理想とされてきた。

日本では、何も混ぜないでそれらの条件を満たす粘土が大量に採れる場所に、窯場が生まれた。
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粘土の主な原料は、長石(チョウセキ)珪石(ケイセキ)を多く含んだ花崗岩(カコウガン)流紋岩(リュウモンガン)で、300〜200万年前に、それらが風化して流れ出し、湖などに堆積してそうになったものを掘り出す。

なかでも長石や珪石を多く含む地帯、広島型花崗岩帯が、やきものの土に最適だとされる。
日本列島の地質構造図を見ると、フォッサマグナを除く中央構造線の北側に、
この広島型花崗岩帯が細長く横たわっており、西から九州北部、備前、丹波、信楽、伊賀、瀬戸、美濃、越前、笠間などの窯場がその上に点在している。

花崗岩由来の粘土以外にも、砂岩や泥岩が風化した益子の土、頁岩が風化した常滑の土、流紋岩由来の陶石を砕いて粘土化した磁器土などがある。

また、やきものに使える粘土層は少量なら全国各地にあり、それを掘って使用している陶芸家もいる。
同じ窯場の土でも、粗い土、細かい土、白い土、赤い土など、様々な種類があり、それぞれの目的に合わせて土を選ぶ。土を掘り出したら、乾かして細かく砕き、ふるいにかけた後、水を加えて練る。

アクを抜いて土を安定させたいときは、砕いた土を水に溶いて水洗いし、ふるいで漉す。これを水簸(スイヒ)と呼ぶ。

 市販されている土は、釉薬との相性もよく、幅広い温度で安定して焼けるように調整されている。
一方で、少量で扱いにくく焼成時に苦労するような原土でも、土そのものの素材を生かした味わい深いやきものをつくることができる。
陶芸家にとって土選びや土づくりは、やきものの根源を支える重要な要素である。

益子の土 益子粘土   《栃木》
砂岩、泥岩由来の土。砂と小石が混じった砂礫層から採取され、
砂気が多い。ゆえにろくろが厚挽きになったり、濃い目の釉や
化粧土が 掛けられ、益子独特の民藝スタイルが育った。
瀬戸の土 蛙目粘土   《愛知》
東海3県で大量に採れる、陶磁器原料の代表格。カオリン
(カオリンナイトを主成分とする粘土)と珪石が主成分雨に
濡れると珪石がカエルの目のように光ることからこの名前がついた。
美濃の土 五斗蒔土   《岐阜》
黄瀬戸、志野、織部など桃山時代の美濃陶を支えた土。鉄分が少なく、
高温で焼いても焼きしまりすぎず、土の風合いが残せる。見た目より
手取りが軽いので、茶陶や食器に向いている。
信楽の土 黄の瀬土   《滋賀》
信楽の土は蛙目粘土に近く、粒状の長石と珪石が含まれるのが見た目
にもわかる、ざっくりとした土。なかでも黄の瀬土は土の味わいが
柔らかく、焼くと緋色が出やすく貴重なもの。
備前の土 田土     《岡山》
備前の土は流紋岩由来の土で、山から掘り出した石や砂の入った
「山土」と、田んぼの底に蓄積された「田土」にわけられる。
「田土」は、ねっとりと粒子が細かく鉄分が多い。
唐津の土 唐津土    《佐賀》
花崗岩の丘陵地帯の分解物がたまった層の粘土で、薄い層や塊となって
随所に分布している。白や赤など、その特徴は様々だが、全体的にざっくり
とした砂気と鉄分が多い。
有田の土 磁器土    《佐賀》
流紋岩から金属類などが溶かし出されて白くなり、粘土化した陶石。
有田の磁器は、おもに天草地方(熊本県)から採取した。白色度が
高い天草陶石を原料にしてつくられている。 
  • 鈴華窯では目的に合わせて、いろいろな産地の土をブレンドして使用しています。