窯の種類を知ろう
おもに土器を焼く場合に用いられ、薪をくべて焼く。焼成の最大の難関は温度差。窯のない野焼きは、800度近くの温度に焼かれた土に、数百度の温度差のある外気が流れ込み、膨張率に差が出てひび割れを生じやすい。また急激な温度上昇で空気が膨張し、はじけやすいなどリスクが高い。
【薪窯】
薪を燃料とする窯。窯にやきものを詰め、薪をくべて燃やしながら温度を上げる。急激に温度を上げると割れやすいので、ゆっくり調整しながら約1250度で本焼きする。焼成時間はおよそ2~3日が目安になる。
【電気窯】
窯内に張り巡らされたニクロム線が、反射熱でやきものを焼く。完全酸化焼成でそのままでは還元焼成はできない。炭や薪を投入してガスを出し、還元をかける方法もあるが、ニクロム線が痛む。上絵具の焼き付けには電気窯が向いている。
【ガス窯】
窯全体を統御しやすく、操作が容易なことから量産の窯としても多く使われている。炉内が密封されて炉圧が高くなっても、焼成時に気化熱が奪われないため、強い還元焼成でも少しの酸素で確実に温度を上げることができる。青磁などに向く。
【灯油窯】
灯油をバーナーで噴射して空気と混ぜ、そこに火をつけて燃やす。バーナーの性質上、微妙な制御は苦手で、窯全体を均一に焼き上げるには向かない。しかし少々の無理にも対応でき、薪を投げ入れるなど薪窯風にも使用することができる。
窯のバリエーションは、効率よく、安定して温度を上げる技術の発展とともに生まれた。日本最古のやきもの 縄文土器の焼成技術はいまだに解明されていないが、焚き火をして炭や灰をつくり、そのまわりにやきものをおいて薪をくべる「野焼き」で焼いたと考えられている。天井や壁がないので蓄熱しにくく800度前後くらいが限界だったようだ。
明治以降になると燃料が薪から石炭、灯油、ガス、電気に変化した。窯自体もレンガを積んでつくるのではなく、製品として市販されるようになり、現在、陶芸家は自分の作風に合わせて窯を築いたり、購入したりと、選択肢が広がっている。
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